変身

ある朝、私はベットの上で目が覚めると、自分が一匹の巨大な毒虫に変わっていることに気がついた。

 

特に日曜の朝は変身しがちである。

 

回る天井に、

鉛でも入れたのかというほど重い胃腸。

言うことを聞かない四肢。

財布を開けば昨晩の記憶が確かなところまでは確実にあったはずのお金が跡形もなく。

 

見た目、私自身のテンション、財力、社会への貢献、どれをとっても、さながら毒虫である。

 

ただベットの中でうごうごしているその姿は、

決して人様にお見せできるような代物ではない。

 

 

ないのだ。

 

 

 

ないのだ、が。

 

 

どうしてもその状態で活動しなければならない時もある。

 

それは私が社会人だからだ。

 

日曜の夜に記憶を飛ばすほど(それもサッカーが始まるずっと前に)飲むやつが悪いという意見もあろう。

 

その意見はとりあえず却下しておく。

 

そんなこと言う奴はナンセンスだ。恥を知ってほしい。

 

 

だいたいにして、こちとら二日酔いになりたくてなっているわけではないのであるから、

そんな意見は聞く意味がないのだ。

 

そもそも二日酔いになりたいと思って酒を飲むやつがいると思うのか、

もしいるのであれば出て来てほしい。

ウォッカをしこたま流し込んでやる。

 

そんなことを考えながら、毒虫と成り果てた身体を引きずりながら、

這々の体で電車に乗ると、やたらと周りが爽やかに見える。

 

いつもはむさ苦しい汗かいたおっさんも、

ちょっとハゲかかった中年も、

みんながいつもより若く見え、同時に羨ましく思う。

なんでみんなそんなに元気そうなの?と。

なんで私はこんなに元気がないのに電車に乗らなきゃいけないの?と。

 

 

あゝ企業戦士!

 

 

しかし、二日酔いで出勤した場合、1つだけ良いことがある。

 

それは、出勤がその日一番の山場になる

ということである。

 

出勤という大仕事を終えた私は、

デスクに座り、ぐるぐると回る会議室やパソコンの画面とにらめっこしていれば時間が過ぎて行く。

 

なにをやったのか、はたまたなにもやっていないのか、

とにかく記憶がおぼろなまま、気づけば退勤を迎えることができるのだ。

 

 

ただ、二日酔いの辛さは尋常ではない。

もう経験したくないからお酒は金輪際飲みません。

ウソです。