海外生活と嫁と筋肉と

25歳で大手企業を辞め、海外企業に転職、嫁と一緒に海外生活している人のブログ。

はじめてガールズバーに行ったらゲイにくすぐられた話

 

友人と飲み交わし、いい感じの組んず解れつの状態の中、

不意に立ち寄ることになったガールズバー

 

その友人はここのガールズバーに来たことがあるみたいだが、

私にとっては初ガールズバー

 

私にとってのガールズバーのイメージは、

 

桃色の照明がカクテルを照らし、

氷が妖艶に溶けていく。

カランと音を立て沈む氷をかき混ぜる男の手。

濡れたその手が次に向かうのは妙に露出の多い女。

それを振り払うでもなくかわす女の手。

その手が象徴する駆け引きは、まさしく大人の世界。

ムードがあるんだかないんだか、

それすらの判断も出来ない場所。

 

これである。

 

 

興味はあったがなかなか踏み出せない世界。

 

金払って女と飲むだけって、何が楽しいんだ!

と息巻いてみるが、ただ勇気がないだけなのである。

 

そんなところにまさか自分が行く日がくるなんて。

 

旅先で路線バスに駆け乗ったときのような安堵と不安を持って階段を降りると、

 

あゝ絶景哉。

 

チアガール達があははうふふと桃源郷

 

先客のグループとカラオケで多いに盛り上がっているではないか。

 

私も早く混ざりたい。歌いたい。

 

混ざりたい、が、

その前にチアガールとスキンシップをとらねばならぬ。

 

ただ私に備わった天性の人見知りが存分に発揮され、どうにも踏み込めない。

 

こういうときの友人はすごい。

やや乱暴ではあるが、するすると言葉を紡ぎ、

あっという間に打ち解ける。

 

そうして出来上がったゆるーい空気の中に、いつもひょっこりお邪魔させていただくのが私の役割なのである。

 

このようにお互いの役割を遂行しきった後、

チアガールからデンモクを渡された。

 

友人が湘南乃風の「睡蓮花」を予約し、いざ出陣。

 

最高潮の盛り上がりを見せるグループの前まで赴く、お前らも一緒に歌えとばかりに。

 

もちろんみんなノってきてくれるわけである。

 

手を挙げ、頭を振り、それぞれの感性で盛り上がる。

 

ああ楽しいなあ。

 

刹那、二つの眼が私を見つめているのに気がついた。

じっと見つめてくるその目は真剣そのもので、鬼気すら迫る。

 

これが対局中なら違和感もないが、

あいにくカラオケ中である、アル中(アルコール摂取中)である。

不自然に真剣なその目はただ怖い。

 

いかんせんゲイの方にモテる傾向にあるこの私、その類の危険を察知する能力が身についている。

モテればいいという話ではない。

 

頭の中にエマージェンシーを告げるアラームが響く。

緊急事態発生。緊急事態発生。

 真夏のジャンボリーなんていってる場合ではない。

濡れたまんまでイっちゃえない。

 

この場合の最善策は、気づかないフリをすることであろう。完全無視。

 

即座に体をチアガールたちの方へ向け、避難。

 

しかし、どうにも気になってしょうがない。

 

さっきのはたまたま考え事をしてて、真剣な顔になってしまったのではないか。

 

ポーカーフェイスを極めた御方で、他意はないのではないか。

全て私の思いあがりではないか。

だとしたらなんてバカなんだ私は。

 

ゲイとはいえ、モテるなんてやれやれだぜ、と自惚れた自分を殴りたい。

ごめんよ、と贖罪の意を込めて、一度チラ見してみる。

 

あれ、いない。

 

ああそうか、さっきはトイレに行きたかったんだろうな。

なのに他のグループである私らが乱入してきたから気を使ってガマンしてくれていたのか、

申し訳ないことをしたなあ。

やっぱり私の思い上がりじゃないか。

どうぞ、ごゆっくり。

 

なんて思いながら、

 

突然降り出した雨〜♪

 

と歌うや否や、

 

突然くすぐられた俺。

 

最初はチアガールがちょっかいかけてきてくれたと思ったんですよ。

すごく嬉しかったんですよ。わくわくしたんです。

 

でもね、笑顔で振り返るとね、さっきの方がやっぱりそれなりに真剣な目で私をくすぐってたんです。

 

小せえ声でなんで俺だけ......

 

その後はもう修羅場です。

避けようにも歌は大サビに向けて佳境だし、なにより怖い。

 

痴漢で声がでなくなってしまう女の子の気持ちがよく理解できました。

痴漢はやめましょう。こわいですから。

大の大人がこわくなってしまうんですから、少しは相手の気持ちも考えてあげましょう。

 

良かった点を上げるとするならば、

その状況に気づいたチアガール達が一緒にくすぐってくれたことだろうか。これはよかった。

 

大勢のチアガール(と真剣な目を持つ男)に囲まれながら無事歌い終わった私。

グループのみんなとハイタッチをしてから

這々の体で自席に戻ると、

チアガールが駆け寄ってきて

「大丈夫でした?なんか、くすぐられてましたけど」

 

「ええ、非常に怖かったです」

 

 

その後、そのグループは早々に退散していったが、

私の脳裏にはあの目が焼き付けられた。

 

正直チアガールの顔とか全然覚えてない。

 

やはりオトナの世界に踏み入るのは時期尚早であったのか。

 

なんとも痛烈なデビューとなった。